歌川広重《東海道五十三次/御油》

東海道五十三次之内 御油 旅人留女

歌川広重(1797-1858)
日本通運株式会社

留女(とめおんな)とは旅籠の客引きのこと。街道沿いの旅籠では客の争奪戦が激しく、特に御油は別道からの中継点でもあり多くの人が宿をとりました。今では考えられないことですが、たくましい留女たちが旅人達を待ち構えていて袖をぐいぐいと引っ張り、うちの旅籠に泊りなよ、と連れて行ってしまうのです。何人かで旅をしているグループを見つけると、いちばん体力のなさそうな人に狙いを定めてその人の荷物を奪ってしまいます。留女が自分の勤め先の旅籠にその荷物をぽんと投げ入れると、仕方ない、そこに泊まるかと皆でぞろぞろ宿に向かいます。ずらっと並んだ旅籠と、右側の逗留を決めてくつろいでいる旅人、中央の動きのある人物描写の対比が楽しめます。