オークラ・ペストリーの世界

クロカンブッシュとは?シュークリームを使う理由と作り方

クロカンブッシュは、フランスの結婚式には欠かせない、シュークリームを円錐状に積み上げて作るお菓子です。「ピエス・モンテ」と呼ばれる、特別な時に作る工芸菓子のひとつで、パン職人や菓子職人の守護聖人である聖オノレの名前にちなんで「サントノーレ」とも呼ばれます。子孫繁栄を願う目的で作られ、ウェディングケーキとしてだけではなく、赤ちゃんの洗礼式を始め、お祝い事に関連した記念日やパーティーのために準備されるお菓子です。そんなフランス伝統のお菓子であるクロカンブッシュについて、詳しく解説いたします。

クロカンブッシュとは?

クロカンブッシュイメージ画像

クロカンブッシュはフランスのお菓子で、「ごつごつした木」を意味しており、口の中でぱりぱりと砕ける音を表しているとも言われています。小さなシュークリームをツリーのように積み上げ、飴やカラメルなどを接着剤のようにして固めて作るもので、フランスでは伝統的なウェディングケーキとされています。新郎新婦は、二人で木槌を使って崩しながら、列席者にクロカンブッシュを配ります。
シュークリームはキャベツの形をしていますが、「シュー」はフランス語でキャベツという意味です。フランス語でのポピュラーな言い回しに「モン・シュー(私のキャベツ)」という言葉がありますが、これは「私の愛しい人」という意味で、恋人や子どもなどに対して使われます。フランスではキャベツは「可愛い」や「愛しい」という言葉の代名詞でもあるのです。欧米では、キャベツ畑から赤ちゃんが生まれるという言い伝えがあり、キャベツは子宝の象徴だと言われています。元々は中世のスコットランドで、未婚の男女がキャベツ畑で目隠しをして恋占いをしたのが由来とする説もあります。言い伝えを基に、子孫繁栄と豊作を祈って作られたクロカンブッシュ。シュークリームは祝ってくれる人たちを指すとも言われ、高く積み上げることで天に近付くほど幸せになれると言われているのです。

クロカンブッシュの基本的なレシピ

ここでは、一般的なクロカンブッシュのレシピと作り方についてご紹介します。

主な材料

クロカンブッシュの主な材料として、シュー生地は水・牛乳・バター・薄力粉・卵を使い、カスタードクリームは牛乳・卵・砂糖・薄力粉を使います。シューに風味をつけるために、オレンジリキュール・ラム・キルシュなどを使うこともあります。

作り方
  1. 水・牛乳・バター・薄力粉・卵を混ぜ、火にかけながら、へらで混ぜてシュー生地を作ります。生地をオーブンの天板に口金で搾り出し、焼き上げます。中にカスタードクリームを詰めてシュークリームを作ります。
  2. シュークリームを積み上げるための土台を厚紙や画用紙などで作ります。
  3. 土台の上にシュークリームを載せていきます。
  4. 飴やカラメルなどでシュークリーム同士を接着します。
  5. 冷えて固まったら、土台の型を抜いて外します。
  6. お好みでいちごなどのフルーツやチョコレートなどでデコレーションして完成です。
アレンジ方法

タルトやスポンジケーキで土台を作ったり、アーモンドと飴で作られたヌガティーヌを使って様々なデザインにしたり、シュークリームの代わりにエクレアやマカロンを使ったり、シュークリームの中身をチョコや生クリームにするなどのアレンジが可能です。仕上げには、アーモンドをチョコレートなどでコーティングしたドラジェがよく使われます。一番上に星を飾れば、クリスマスツリーのように華やかなデコレーションのクロカンブッシュになります。

ホテルオークラ東京が作る
クロカンブッシュ

ホテルオークラ東京では、純白のザラメをあしらったシューをらせん状に配置し、ヴァージンロードを表現したクロカンブッシュをお作りしています。ご披露宴のための特別なケーキのため、シューの皮は焼成してから2ヵ月以上乾燥させたものを使用しており、通常はお召し上がりいただくことを想定していません。これを入刀用のケーキにご使用いただく場合には、プティシューにクレームレジェを詰め、少量の飴を掛けたものを召し上がっていただいています。
クロカンブッシュの特殊な形を作り上げるためには、円錐形の型が必要不可欠です。この型を芯にして、大中小の飴掛けしたシューを積み上げていく作業は、簡単なように見えるかもしれませんが、飴の色と固さの加減には言葉でなかなか説明できない難しさがあります。その日の気温や湿度などの条件を肌で感じ取り、色と固さを整えた飴を艶の出る絶妙な厚さで掛けることは、長年の経験を要する難易度の高い技術です。そのため、高い温度や湿度はクロカンブッシュの大敵です。飴が溶けたり、変形したり、艶がなくなることを避けるため、クロカンブッシュは11月から4月の間だけお作りしており、それ以外の時期はマカロンをシューに見立てて組み上げたウェディングケーキをご用意しています。
結婚式のご披露宴には、ご新郎・ご新婦こだわりのストーリーがあります。ウェディングケーキはそのストーリーに寄り添い、披露宴会場で列席者の皆様をお迎えする役割を持っています。そんな重要な役割を持つウェディングケーキが、万が一にも、飴が溶けてご披露宴の最中に崩れるようなことがあってはいけません。おふたりが丹精込めて作り上げたご披露宴だからこそ、私たちパティシエも丹精込めたウェディングケーキでお祝いしたい。その想いから、温度や湿度の高い時期にクロカンブッシュを希望されてもお作りしていません。そのシンプルなことが、オークラのクロカンブッシュのこだわりです。

想いや願いの込められたクロカンブッシュ

フランスではお祝い事に合わせて作られるクロカンブッシュ。古来、このケーキには人々の幸せを願う気持ちが込められてきました。日本では、特別なウェディングケーキとして、ご新郎・ご新婦の想いの詰まった披露宴を彩ってきました。そんな人々の気持ちに想いを馳せながら、クロカンブッシュを味わってみてください。

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監修パティシエ

監修パティシエ

シェフパティシエ 中村 和史

1986年ホテルオークラ東京入社。以来、ホテルオークラ東京の洋菓子を支える。
シェフズガーデン カメリアに並ぶペストリーのほか、ダイニングカフェ カメリアご宴会ウェディングなど館内で提供される洋菓子全般を担当。
シェフパティシエ就任後は「伝統と革新」をテーマに、お客様に喜ばれる洋菓子を提供すべく、日々研鑽を重ねている。
趣味は野球観戦と、きれいな料理の盛り付け画像を探すこと。

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