オークラ・ペストリーの世界

ガレット・デ・ロワとは?フランスの新年を祝う伝統菓子の楽しみ方

監修者プロフィール

監修

シェフパティシエ 中村 和史

1986年ホテルオークラ東京入社。以来、ホテルオークラ東京の洋菓子を支える。
シェフズガーデン カメリアに並ぶペストリーのほか、ダイニングカフェ カメリアご宴会ウェディングなど館内で提供される洋菓子全般を担当。
シェフパティシエ就任後は「伝統と革新」をテーマに、お客様に喜ばれる洋菓子を提供すべく、日々研鑽を重ねている。
趣味は野球観戦と、きれいな料理の盛り付け画像を探すこと。

ヨーロッパでは、お祭りやパーティーに伝統菓子が欠かせません。
フランスでは、キリスト教のお祭り公現祭(エピファニー)の時に必ず楽しまれているのがガレット・デ・ロワ(galette des rois)です。
パイ生地の中にアーモンドクリームを入れたシンプルなお菓子ですが、最近は日本の洋菓子店でも見かけるようになりました。味(生地・クリーム)、見た目(模様)、楽しみ方(フェーヴ)とさまざまな楽しみ方があります。今回は、そんなガレット・デ・ロワについてご紹介します。

ガレット・デ・ロワとは

ガレット・デ・ロワイメージ画像
フランスで愛されるガレット・デ・ロワとは

フランスで新年のお祝いに欠かせないお菓子といえば、ガレット・デ・ロワです。毎年1月6日、または1月2日以降の最初の日曜日に行われる公現祭(エピファニー)を祝うために作られます。
公現祭は、キリスト教の祝日です。三賢人(ガスパール、メルクール、パルタサール)がクリスマスに生まれた神の子イエス・キリストと初めて出会った日、として知られています。日本ではあまり一般的に知られている祭りではありませんが、キリスト教の祭りとしては最も古くからあり、とても大きなイベントです。
公現祭の日に食べるガレット・デ・ロワは、フランスの伝統的なアーモンドクリームが入ったシンプルなパイです。バターをふんだんに使ったサクサクした食感がおいしさの秘訣です。
また、パイの表面にはナイフの切り込みで模様が描かれています。模様には意味があり、その時々で模様を変えます。月桂樹は「栄光」、太陽は「生命」、矢羽根は「豊穣」、格子模様は「勝利」です。
日本の洋菓子店でも最近少しずつガレット・デ・ロワがみられるようになってきました。フランスではクリスマスが終わり、年末が近づくと、公現祭に向けて、街中のケーキ店、お菓子屋さん、パン屋さんにガレット・デ・ロワが並びます。
また、フランスではパティシエのコンテストの審査課題作として、ガレット・デ・ロワが指定されることもあります。それだけフランスの方々にとって、親しみのあるお菓子です。

ガレット・デ・ロワの楽しみ方

ガレット・デ・ロワを日本語に訳すと「王様のケーキ」となり、紙製の王冠の飾りをパイに乗せて出す形が一般的です。
このお菓子の最大の楽しみは、フェーヴを誰が引き当てるかということです。フェーヴとは、そら豆のことで、昔は乾いた豆を用いていたそうですが、現在は陶器製の小物(人形)を使用します。
取り分けられたパイの中からフェーヴを発見した子供は一番偉い人として一日過ごすことができます。引き当てた時は他の子供たちから祝福され、同時に用意された王冠をかぶります。
フェーヴを引き当てると、その日一日だけではなく、1年間幸運が続くともいわれます。
ガレット・デ・ロワをより楽しむために、さまざまな種類のフェーヴを用意することもあります。例えば、指輪の形をしたフェーヴは、「年内に結婚する」という意味や、硬貨は「金持ちになる」、ぼろきれは「貧乏が続く」という意味を持ちます。
また、フェーヴが公平に引き当てられるようにする工夫もあります。

ガレット・デ・ロワのさまざまな種類

地域やお店によって異なるガレット・デ・ロワのさまざまな種類についてご紹介いたします。

地域によって異なるパイ生地

ガレット・デ・ロワの本国フランスでは、主に2種類の生地が親しまれています。
北部では、フランジパーヌというアーモンドクリームが入った生地、南部ではブリオッシュ風のガレット生地のものが主流です。南部のブリオッシュ風のガレット生地には、砂糖漬けされた果実が入っています。

風味豊かなパイの中身

パイの中身もバラエティに富んでいます。
最もスタンダードなものは濃厚なアーモンドクリームやラム酒を入れたものです。そして、アレンジとしては、アーモンドクリームの代わりにチョコレートクリームやキャラメル風味のソース、リンゴのコンポートなどを入れる場合もあります。また、日本では抹茶風味のガレット・デ・ロワも販売されています。

ガレット・デ・ロワの作り方

ガレット・デ・ロワの材料
  • 発酵バター…1,500g
  • 強力粉…1,000g
  • 薄力粉…1,000g
  • アーモンドプードル…68g
  • 塩…27g
  • 水…600g
  • ヴィネガー…少々
  • アーモンドクリーム…適量
ガレット・デ・ロワの作り方
  1. 全ての材料を生地として手で纏めます。この時、生地をなるべくこねないようにしてください。
  2. パイ生地のようにまとまってきたら、めん棒を用意します。
  3. まず、おおよそで良いので正方形に成形します。
  4. めん棒の中央で縦方向に前後、生地を台に押し付けるようにして伸ばしていきます。出来る限り均等な厚さを保ちながら3倍程度の長さに伸ばした後、その生地を3つに折り畳みます。
  5. 次にこの生地を90度に回転させて、先程と同様に3倍程度の長さに伸ばし、中央に両端から中へ2つ折り、その表面同士を合わせるように4つ折りに畳みます。この時も一番初めの大きさになるようにします。
  6. また90度回転させて、これまでと同じ3つ折りと4つ折りをそれぞれ1回ずつ行います。
  7. 再び90度回転した方向へ均等な厚さに伸ばしていきます。
  8. これを3つに折り冷蔵庫で6時間程度寝かせます。
  9. 寝かせた生地は2.5mmに成形し冷蔵庫で3時間程度寝かせます。
  10. その後、焼成用の鉄板に焼成紙を敷き、まず1枚生地をのせます。
  11. 中心から円盤状に、外へと広がるようにアーモンドクリームを絞ります。
  12. クリームの外側の余白に卵を塗り、もう1枚の生地を下の生地と45度ずらして、被せます。
  13. クリームの外周ぎりぎりを丸い型で、しっかり押さえつけて、クリームが漏れないように密着させます。
  14. 丸い型をあてて、ナイフで余白を切り落とし、中心から外へ螺旋状に筋を入れます。
    ※模様は自由ですので、一般的なガレット・デ・ロワの画像を見て同じ様に筋を入れてみてください。
  15. 生地を鉄板ごと冷蔵庫で寝かせます。200℃のオーブンで40分から50分程焼成します。
  16. 砂糖と水が同量のシロップをあらかじめ作っておき、オーブンから出して熱いうちに焼成した表面にシロップを均等に塗ります。
  17. オーブンに戻して10分から20分、表面に綺麗な艶が出るまで焼成します。

ガレット・デ・ロワの生地と、一般的なパイ生地(フィユタージュ)は生地の折り方が重要です。
敷布団を畳むように3つや4つに折り畳む事を繰り返します。また絶対に同じ方向ばかりに生地を伸ばす事がないように、生地を伸ばす方向を間違えないようにしてください。
ホテルオークラ東京では、ガレット・デ・ロワにフェーヴを入れずに販売しています。
お客様を驚かせてしまう事がないように、今はアーモンドを一粒忍ばせておき、フェーヴは王冠と同じように、箱の中に添えています。

ガレット・デ・ロワを愉しみながら、一年を幸福な気分でスタート

見た目としても味わいとしてもシンプルなお菓子ですが、家族のイベントとして一日楽しむことができ、フェーヴを引き当てれば幸福が一年間続くという、とても幸福な気分になれるお菓子です。ご家庭でもお正月の締めに楽しんでみてはいかがでしょうか。

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