國酒 -こくしゅ- 日本酒

燗酒

燗酒

秋、たわわに実った稲が収穫され、それぞれの蔵元に運ばれると、いよいよ本格的な酒造りが始まります。「酒」の原形である「酉」という漢字は、「酒壺」をかたどった象形文字だと言われています。稲が収穫される季節、十二支の10番目、すなわち10月を意味する「酉」は、まさに酒造りにふさわしい文字と言えるでしょう。酒造りは翌年の春まで続き、その後、蔵人達が手塩にかけた努力の結晶は静かに蔵で寝かされます。夏を越した頃、香味が増して酒質も向上した日本酒は「秋上がり」と呼ばれ、左党たちにとって待ちに待った季節の到来です。

「日本酒は冷やに限る」とおっしゃる方も多く見られますが、チロリに好みの酒を注ぎ、燗銅壺(かんどうこ)で優しく温めた「燗酒」は、「冷や」や「冷酒」ではわからない、日本酒独特の複雑な香りや味わいを引き出します。また、仕事を終えて夕食時に一本つけてもらう燗酒は、香りほのかで柔らかく、五臓六腑にじんわりと染み渡り、頑張った体が癒される至福の瞬間です。平安時代の貴族達も、秋の気配が感じられる九月九日(重陽の節句)から三月三日(ひな祭り)まで、季節を感じながら燗酒を愉しんでいたと言われています。

美味しい日本酒は、基本的にはどんな温度帯でも愉しむことが可能ですが、「温め過ぎない」、「冷やしすぎない」のが、さらに美味しく飲むためのポイントと言えます。お店で燗酒を注文する際には、お燗番に、人肌燗(35度前後)、ぬる燗(40度前後)、上燗(45度前後)、熱燗(50度前後)などと、おおよその好みの温度帯を伝えると良いでしょう。お酒は温めたほうが身体に吸収されやすいので、酔いの回りが早く、飲み過ぎや悪酔いなどを防ぐことができます。

和食・天ぷら「山里」では、お燗番がチロリと燗銅壺で優しく丁寧に温めた燗酒をお愉しみいただけます。秋の夜長、旬のお料理とともにお好みの燗酒をゆっくりとご堪能ください。

和食・天ぷら 「山里」
ソムリエ 岡田昌男

 

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