ワインの引き出し

 

冷やすとおいしいワインはどれ?
タイプ別の適温と冷やし方

ワインには、まったく同じワインでも温度によって味わいが変わる面白さがあります。嗜好品であるワインは、自分にとっておいしいと感じる温度で愉しむのが一番ですが、ワインのタイプによって基準となる適切な温度があることも事実です。

ワインと温度の関係

ワインイメージ画像
ワインを冷やす理由

一般的に白ワインの場合は6℃~18℃、赤ワインの場合は12℃~20℃が適温といわれています。しかし、含まれる成分により最適な温度が異なるため、ワインごとに温度設定することが重要になります。
適温を左右する成分としては、有機酸、糖分、タンニン、炭酸ガスが挙げられますが、中でもワインの適温に最も大きな影響を与えるのが有機酸といわれています。ワインに含まれる主要な有機酸は、酒石酸、りんご酸、クエン酸、乳酸、酢酸、コハク酸の6つです。
ぶどう果汁には酒石酸とりんご酸に加えて少量のクエン酸が含まれていますが、酵母のアルコール発酵によって、乳酸、酢酸、コハク酸が生成されます。有機酸のバランスという観点で考えると、ワインは主に3つのタイプに分けられます。りんご酸系ワイン、乳酸系ワイン、りんご酸系+乳酸系ワインです。

温度変化による味わいの違い
①りんご酸系ワインの場合(例:フランス産のミュスカデ)
低めの温度・・・キレがあり、引き締まった味わいに。
高めの温度・・・酸味が和らぎ、ぼやけた味わいに。
②乳酸系ワインの場合(例:ボルドー地方の赤ワイン)
低めの温度・・・渋味が増して、香りが閉じてコクを感じやすい。
高めの温度・・・渋味は弱くなり、コクを感じやすい。
③りんご酸系+乳酸系ワイン(例:ブルゴーニュ地方の白ワイン)
低めの温度・・・香りが閉じて甘味も閉じ、コクを感じにくい。
高めの温度・・・香りが開き甘味が増して、コクを感じやすい。

ワインを飲むときの適温

ワインのタイプごとの適温
【白ワインの適温】

白ワインにはミュスカデやサンセールなどの軽いタイプと、ブルゴーニュ地方の白ワインに代表される比較的重くコクのあるタイプがあり、重いタイプは高めの温度が適しています。また、貴腐ワインの内、特に高級なものも高めの温度が合います。

・辛口の白ワイン:6℃~18℃程度
例:ミュスカデ、サンセール、ブルゴーニュ地方の白ワイン
・甘口の白ワイン:6℃~16℃程度
例:ソーテルヌ
【赤ワインの適温】

フルボディタイプの赤ワインはしっかりとしたコクがあるため、比較的高めの温度が適していますが、ミディアムボディ、ライトボディと軽くなるにつれて低めの温度が適温になります。

・フルボディ:16℃~20℃程度
例:ボルドー地方の赤ワイン、ブルゴーニュ地方の赤ワイン、アメリカ・カリフォルニアのカベルネ・ソーヴィニヨン
・ミディアムボディ:14℃~18℃程度
例:カリフォルニアのピノ・ノワール、キアンティ
・ライトボディ:12℃~17℃程度
例:ボージョレ
【ロゼワインの適温】

6℃~14℃程度

辛口タイプは14℃くらいまで、甘口タイプはそれよりも低めの温度が適しています。特に、マテウスに代表される微発泡ロゼワインは低めの温度が最適です。

 例:マテウスロゼ、プロヴァンス、ローヌ

【スパークリングワインの適温】

6℃~17℃程度

シャンパーニュに代表される複雑味とコクのあるタイプは少し高めの温度に、甘口タイプは少し低めの温度に設定します。

適温は人それぞれ異なる

ワインにはそのワインごとの適温がある一方で、ワインは嗜好品のため、人それぞれ好みの温度で愉しんで良いと思います。赤ワインをすごく冷やして飲む方もいらっしゃいますし、ワインに氷を入れて飲む方もいらっしゃいます。

ワインの冷やし方

一般的にレストランでは、ワインセラーを使ってワインを最適な温度で保管しており、常にベストな状態で提供されます。しかし、家庭などでワインセラーがない場合には、ワインをそのまま室内に保管することが多いと思います。常温のワインを冷やす場合のポイントをご紹介します。

冷蔵庫で冷やす場合

しっかり冷えるまで時間がかかるため、時間に余裕がある場合は、前の日から冷蔵庫に入れておくようにします。注意したいのは、実は冷蔵庫は長期保存には向かないということです。野菜室の場合でも同様です。ドアの開閉による振動、食材のにおい、乾燥した庫内の環境はワインの保管にとって良い環境とはいえません。一度冷蔵庫にしまったらなるべく早く消費しましょう。
すぐに冷やしたい場合は、冷凍室に10分から15分くらい入れます。入れたことを忘れて、凍らせてしまわないように気を付けましょう。

ワインクーラーで冷やす場合

ワインクーラーに氷水を張り、その中にボトルを入れます。ボトルをぐるぐると回すと、早く冷やすことができます。

まとめ

ワインは温度によって味わいが大きく変わります。特に高級なワインについては、そのワインに適した温度管理を行った方が、持ち味を最大限に引き出すことができます。
また、季節によってワインの適温が変わることもあります。たとえば、夏は少し重たい赤ワインも若干冷やしたほうがおいしく感じられます。通常はよく冷やす白ワインも、冬には少し高めの温度のほうがおいしく感じられることがあります。
ワインはおいしく愉しむのが一番です。自分が一番おいしいと感じる飲み方を試してみてください。

(アシスタントチーフソムリエ 田村 正俊)

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