ワインの引き出し

 

ボトルの形を見ればワイン産地や味わいがわかる?

世の中には星の数ほどのワインが存在し、数多のワイン用ぶどう品種や産地が存在します。そしてワインボトルの色や形状も、多くのタイプが存在します。
私の経験では、「ボトルの形を見ればワイン産地や味わいがわかる」とまでは言い切れませんが、ある程度の法則性があるのも事実で、それがワイン選びのポイントにもなります。
ワインの世界はとても広くて終わりがなく、ここでご案内させていただく内容が全てではありません。しかしながら、少しでもワイン選びの参考になればという思いで、ワインボトルについてご紹介させていただきます。

ワインとワインボトルの歴史

ワインイメージ画像

ワインは非常に歴史の古いお酒のひとつですが、いつ頃から飲まれていたのでしょうか?その答えはコーカサスにありました。昨今、世界中から注目されているクヴェヴリワインを産出するジョージア共和国で発掘された陶器の壺(クヴェヴリ)が、世界で最も古いワイン醸造の痕跡と考えられると発表されました。その歴史はなんと、今から約8,000年前にも遡るそうです。一説によれば、1万年以上前の石器時代にはすでにワインが飲まれていたとも。
対してワインボトルの歴史はというと、紀元前15世紀頃のギリシャ・ローマ時代に「アンフォラ」と呼ばれる素焼きの甕(かめ)がワインを運搬するのに用いられていました。そして時代は流れ、現在主流となっているガラス瓶は17世紀~18世紀頃から、ワインより遅れて発達しました。ガラス自体は紀元前4,000年頃にはすでに存在していたらしいのですが、ワインの運搬・保存に向く品質を得るには産業革命を待たなくてはなりませんでした。

高品質のワインボトルが流通すると、保存方法にも新たに瓶熟成というスタイルが生まれました。それまで平らな形状しかなかったボトルの底が、熟成中に発生する滓(おり)を溜めるためにくぼみを持つ形状へと変化しました。さらに、発生する滓の量の違いから、ボルドー地方発祥の「いかり肩」タイプと、ブルゴーニュ地方発祥の「なで肩」タイプという風に、ボトルの形状も多様化しました。
あくまで一般論になりますが、赤ワインの場合、ボルドーワインは多量の滓が発生し、ブルゴーニュワインは滓が発生しても少量であると認識されています。しかし、使用するぶどう品種や熟成年数、醸造方法の違いにより滓の量は変わってきます。

では、「いかり肩」タイプと「なで肩」タイプのボトルの特徴を見ていきましょう。
「いかり肩」タイプは、長期熟成型でタンニン(渋みを生む成分)が多いワインに使われ、肩の部分が盛り上がった形状は、注ぐ際に滓が流れ出ないように受け止めるのが目的です。そして、ワイン保存の大敵である光を遮断できる濃い緑色のガラスが使用されます。中でもナパ・ヴァレーの高級ワインのボトルは大変重くできており、特殊な形状により製造コストが高価になるため、偽造防止に役立つという側面もあります。

一方、タンニンが少ないワインは、滓が少なく細かいため、肩で受け止める必要がないので、「なで肩」タイプのボトルが使われます。また、美しい曲線美を持った形状は、ボトルを互い違いに並べることができるため、箱詰めと運搬を効率良く行うことができる点が「いかり肩」タイプとの違いになります。

産地ごとのワインボトルの特徴

ふだん目にすることの多い基本形ボトルと、少し珍しい個性派ボトルをご紹介いたします。

基本形ボトル5型の代表的産地とワインの特徴
・ボルドー型

いかり肩をしており、フランスのボルドーだけではなく、広く世界中で使われている。重厚さと渋みを兼ね備えた力強い赤ワインが多く、白ワインは辛口~甘口まで多岐に渡る。

・ブルゴーニュ型

なで肩をしており、フランスのブルゴーニュ地方やローヌ地方に代表される。赤ワインは豊かな酸味と果実味を特徴とし、白ワインはコクがあり風味豊か。

・ライン型とモーゼル型

どちらもほとんど肩が無く、細身で背丈が高い。茶色いボトルはドイツのライン地方、薄緑色のボトルはモーゼル地方が代表的産地。魅力的な果実味と、冷涼産地特有の酸味が豊かな味わい。

・アルザス型

ラインやモーゼル同様に背が高くスリムな形をしており、濃いめの緑色のガラス。フランスのアルザス地方が代表的産地。白ワインが多く、ライン地方やモーゼル地方のワインよりもやや力強い印象。

個性派ボトル5型の代表的産地とワインの特徴
・ボックスボイテル型

玉をプレスしたような扁平型をしており、厚さは通常のボトルの半分ほど。ちなみに、「ボックスボイテル」の名の意味は、山羊の陰嚢がワインを持ち運ぶのに使われていたからとする説が有力。ドイツのフランケン地方周辺やポルトガルの一部など、限られた地方のみで使用。白ワインが多く、辛口が主体。

・シャンパーニュ型

なで肩をしており、高いガス圧に耐えるように厚手のガラスになっている。コルク栓は大きめで、フランスのシャンパーニュ地方をはじめ、世界中のスパークリングワイン産地で流通。特にシャンパーニュは、きめ細やかな泡をしており、複雑で魅力的な味わいが特徴。

・プロヴァンス型

なで肩でくびれた形が特徴。フランスのプロヴァンス地方で使われる。ほとんどのワインは辛口のロゼタイプ。

・クラヴラン型

フランスはジュラ地方のヴァン・ジョーヌに用いられる、いかり肩のボトル。黄色みを帯びた透明感のあるガラスで、容量は620mlと少なめサイズ。ヴァン・ジョーヌには熟成中の蒸発分を補填してはならないという規定があり、750mlのワインが熟成が終わる頃には620mlまで減るため、この独特のサイズになったと言われている。クルミやアーモンドのような香りで、味わいは個性的な辛口。

・フィアスコ型

なで肩でダルマを連想させる丸い形状をした、イタリアのトスカーナ地方でキアンティ・ワインに用いられていたボトル。ボトルの下半分が藁苞(わらづと)で覆われているのも特徴的。渋みが少なくフルーティーな赤ワイン。現在ではこのボトルを使用する生産者は減少している。

ワインボトルの開け方と注ぐときのマナー

これを実践するだけで、かなりスマートに振る舞えます。ソムリエやサービススタッフが注いでくれるレストランの場合は、任せてしまいましょう。

  1. コルク栓を抜いたら、衛生的なナプキンでボトルの口を拭く。
  2. エチケット(ラベル)が相手に見えるように注ぐ。注ぎ口から垂れたワインでエチケットが汚れるのを防ぐことにもなります。
  3. 注ぐ際、グラスを持ち上げない。
  4. ワインを注ぐ量は、多くてもグラスの一番膨らんだ部分まで。
  5. 注いだ後、ワインの雫が垂れないように、注ぎ口の下にナプキンを添えるか、ボトルの口元を回しながら持ち上げる。

まとめ

世界中には多種多様なワインとワインボトルが存在します。そして、ぶどう品種の違いはもちろん、同じぶどう品種でも生産者によりワインに違いが生まれますし、ボトルの形状や、コルク栓かスクリューキャップ栓かによっても違いが生まれます。そういった様々な視点でワインを見てみるのも、果てしなく広くて深いワインの世界を愉しむ方法のひとつと言えるでしょう。

(ホテルオークラ東京 広報課)

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