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ドイツワインは白がおすすめ!
生産地の特徴と注目ワイナリー

執筆者プロフィール

アシスタントチーフソムリエ 田村 正俊

オーキッドバーを経て、1986年よりソムリエとしてのキャリアをスタート。現在はラ・ベル・エポックソムリエ。
長いキャリアを活かし、カクテルやウィスキー等を含めた、広範な提案を行っている。得意分野はドイツワインとフランスワイン全般。

その起源を古代ローマ帝国の時代にまで遡るほど、長い歴史を持つドイツワイン。ドイツワインを代表する品種であるリースリングを使ったワインは、19世紀末には世界で最も人気のある高価なワインのひとつでした。一方、日本では長い間ドイツ産の甘口ワインが好まれ、現在でもドイツワインと言えば甘口ワインのイメージが定着している側面があります。
まだ日本では馴染みが薄いと言えるドイツワインについて、詳しくご紹介いたします。

ドイツワインの特徴

ワインイメージ画像
ドイツワインの基本

世界のワイン生産地の中で、ドイツは最も北に位置しています。そのため、比較的冷涼な気候に適した白ワインが多く造られており、辛口から中辛口、中甘口、貴腐ワインまで幅広く造られています。
一方で赤ワインも、品質向上とともにここ数年人気も高まり、生産量も40年前に比べて倍になっています。
ドイツワインには、フルーティな味わいと香りを持ったアルコール度数の低いエレガントなタイプと、木樽を用いて醸造を行い、味わいが濃厚で複雑なタイプの2つのタイプがあります。
前者の代表格であるリースリングを使ったワインは、最近特に世界的に人気が高まっていますが、実はシュペートブルグンダー(ピノ・ノワール)の生産量もフランスとアメリカに次ぐ世界3位を誇ります。ドイツワインは、これからますます人気が出ると思います。

ドイツで作られる主なぶどう品種
白ワイン品種
・Riesling(リースリング)
ドイツワインを代表する伝統的な品種で、辛口から甘口までバリエーション豊かな品種。
酸が強く果実味豊かで、タイプによっては長期熟成にも向いています。
・Müller・Thurgau(ミュラー・トゥルガウ)
古くから存在する交配種。比較的安価なワインに使用されることが多い品種ですが、造り手によっては素晴らしい辛口ワインにもなります。
・Silvaner(ジルヴァーナー)
こちらもドイツの伝統的な品種。フランケン地区の辛口ワインが有名です。
・Weissburgunder(ヴァイサーブルグンダー)
ピノ・ブランのドイツ名。バーデン地区、プファルツ地区、ナーエ地区で素晴らしい辛口ワインが造られています。
・Grauburgunder(グラウアーブルグンダー)
ピノ・グリのドイツ名。こちらもバーデン地区、プファルツ地区、フランケン地区で生産量が急増中。
・Traminer(トラミーナー)
ゲヴェルツトラミネールのドイツ名。飲みごたえがあり、香り高いワインを生みます。
赤ワイン品種
・Spätburgunder(シュペートブルグンダー)
ピノ・ノワールのドイツ名。ラインガウで最初に栽培された、ドイツで最も有名な赤ワイン品種です。
・Dornfelder(ドルンフェルダー)
最近人気の交配種。濃い色合いのワインが造られます。
・Portgieser(ポルトギーザー)
以前は広く栽培されていましたが、近年は縮小気味の品種。お手頃な価格帯のワインに使用されることが多いです。

ドイツワインの格付け方法

ドイツワインはぶどうの完熟度によって格付けされます。日照不足を補い、アルコール度数を高めるために発酵前に補糖をするワインもありますが、補糖を必要としないくらい十分に熟したぶどうから作られるワインは、特に高級なワインと評価されます。
EU内のすべての国のワインの格付けは、テーブルワインと高級ワインに分かれます。ドイツではテーブルワインと高級ワインを次の4つに区分しています。

Deutscher Wein(ドイッチャー・ヴァイン):ドイツ産ワイン

ドイツ国内で認可を受けた産地と品種のぶどうを100%使用したワイン。
アペラシオンを表記する必要はありませんが、ぶどう品種とヴィンテージは表記可能です。

Landwein(ラントヴァイン):地酒

26の指定地域で生産されるワインで、基本的には辛口か中辛口に限定されます。

QbA(クヴァリテーツヴァイン・ベシュティムター・アンバウビーテ):特定産地上質ワイン

13の指定生産地のみで造られます。最低アルコール度数は7%と定められており、補糖が可能です。

Prädikatswein(プレディカーツヴァイン):肩書付上質ワイン

収穫の時点において特に高い糖度を持つぶどうから造られ、補糖は禁止されています。
さらに、ぶどうの糖度や収穫方法により、6種類の肩書付上質ワインがあります。

・Kabinett(カビネット)
このカテゴリーには辛口から甘口まであり、アルコール度数は7%以上と定められています。若いワインは爽やかな味わいですが、良質なリースリングを使用している場合には熟成も可能です。
・Spätlese(シュペートレーゼ)
完熟した遅摘みのぶどうだけが使用を認められます。最低アルコール度数は7%と定められ、熟成が可能です。
・Auslese (アウスレーゼ)
完熟のぶどう、もしくは貴腐菌のついたぶどうが使われます。最低アルコール度数は7%。
・Beerenauslese(ベーレンアウスレーゼ)
貴腐ぶどうから造られる、高貴な甘口ワイン。最低アルコール度数は5.5%。
・Trockenbeerenauslese (トロッケンベーレンアウスレーゼ)
貴腐ぶどうから造られる最高級貴腐ワインで、世界三大貴腐ワインのひとつに数えられます。最低アルコール度数は5.5%。
・Eiswein(アイスワイン)
氷結したぶどうから造られる、爽やかな極甘口ワイン。最低アルコール度数は5.5%。

ドイツワインの主な生産地

ドイツワインの指定生産地区は13地区ありますが、その代表的な地区をご紹介します。

モーゼル

ドイツで最も歴史がある有名なワイン生産地のひとつ。コブレンツでライン川と合流するモーゼル川と、その2つの支流、ザール川とルーヴァー川の3つの川の流域にある生産地。栽培されているぶどう品種の内、リースリングが半分以上を占めます。粘板岩質の急斜面の畑も多く存在し、中には傾斜角70度になる畑も。ワインはフルーティで豊かな芳香を持ち、繊細な酸味が特徴です。

代表的なワイン
■Berncasteler Doctar Riesling(ベルンカステラー・ドクター・リースリング)
14世紀のトリアー司教ベームントⅡ世の病を治し、「ドクター」の名を与えられたという言い伝えで有名な畑から造られます。
ラインガウ

ウィースバーデンの西のライン川流域から、マイン川河口近くのホッホハイムに至る南向きで日当たりのよい斜面の土地で、沖積世の土壌に黄土層と粘板岩が混ざっています。白ワインのぶどう品種はリースリングが75%を占め、力強いエレガントなワインに仕上がります。赤ワインはシュペートブルグンダーから品質の良いワインが生まれます。

代表的なワイン
■Schloss Johannisberg Riesling(シュロス・ヨハニスベルグ・リースリング)
世界最古のリースリングワイナリーと言われています。
ラインヘッセン

ドイツ最大のワイン生産地帯。マインツとヴェルムスの間で、ナーエとの境にあたる広大な地域です。主に栽培されている品種は、白はミュラー・トゥルガウとリースリング、赤はドルンフェルダーですが、ジルヴァーナーの栽培面積が世界最大を誇ることも注目すべき点です。なだらかな丘陵地帯に囲まれた地域で、土壌は黄土層に石灰岩と砂岩が混成した微粒砂土から成ります。ワインは柔らかでまろやかな果実の風味豊かなワインとなります。

代表的なワイン
■Morstein Riesling(モルシュタイン・リースリング)
ラインヘッセン・ヴェストホーヘンで造られる素晴らしい長期熟成のワイン。
フランケン

「ビールの国」バイエルンに属する唯一のワイン生産地帯。マイン川両岸の斜面にあり、土壌は黄土層、貝殻石灰、雑色砂岩から成ります。主にミュラー・トゥルガウ、ジルヴァーナーが栽培され、すっきりとした辛口ワインが造られています。QbA以上のワインには、ボックスボイテルと呼ばれる特徴的な瓶が使用されます。

代表的なワイン
■Würzburger Stein Silvaner(ヴュルツブルガー・シュタイン・ジルヴァーナー)
ドイツを代表する文豪であるゲーテがこよなく愛したワインとして有名です。
バーデン

ドイツ最南部のワイン生産地帯。北のハイデルベルクから南のボーデン湖まで続く地域で、大部分の畑は平地あるいは緩やかな斜面になります。土壌は黄土層、粘土質の微粒砂土、火山岩、貝殻石灰岩から成ります。
白ワインはコクのある力強いワインが生まれ、赤ワインは丸みのある柔らかいものから、力強いものまでバラエティ豊かです。

代表的なワイン
■Oberbergener Bassgeige Grauburgunder(オーバーべルゲナー・バスガイゲ・グラウブルグンダー)
300年以上の歴史を持つ造り手が、ピノ・グリから造る素晴らしい辛口ワイン。
プファルツ

ドイツの中で2番目に大きい生産地帯で、温暖な気候に恵まれています。ヴォルムスからフランス国境近くのシュヴァインゲンに至る広大な地域で、粘土質の微粒砂土と石灰岩の土壌です。土壌の質の違いにより、心地よい芳香と風味のあるワイン、軽く新鮮なワイン、力強い強烈なワインなど、様々な個性の違いが生まれます。栽培されているぶどう品種はドルンフェルダー、ミュラー・トゥルガウ、ポルトギーザーなどです。

代表的なワイン
■Knipser Grauburgunder(クニプサー・グラウブルグンダー)
新樽熟成を行う造り手による、力強い辛口タイプのワイン。

ドイツのおすすめワイナリー

おすすめワイナリー
■Weingut Egon Muller-Scharzhof(ヴァイングート・エゴン・ミュラー・シャルツホーフ)
モーゼルを代表するドイツ最高のリースリング生産者。フィネスと洗練さ、精密さにおいて世界のどのワインにも引けを取りません。
■Weingut Robert Weil(ヴァイングート・ロバート・ヴァイル)
150年の歴史があるラインガウの名門。ドイツ皇帝ヴィルヘルムⅡ世が愛した畑「伯爵の山」が有名で、繊細でエレガントな深みのある味わいを生み出します。
■Weingut Rudolf Fürst(ヴァイングート・ルドルフ・フュルスト)
フランケンのシュペートブルグンダーの名門。フランスのブルゴーニュやアルザスで修行した経験もある生産者が、木樽で熟成された素晴らしい赤ワインを造っています。
■Weingut Dr.Bürklin -Wolf(ヴァイングート・Dr. ビュルクリン・ヴォルフ)
プファルツにあるビュルクリン=ヴォルフ博士家の大ワイン生産所。110haの優良畑でリースリングを中心に、ミュラー・トゥルガウ、シュペートブルグンダーも栽培。熟成は木樽で行われ、約半数が中辛または辛口ワインとなります。
おすすめワイン
■Scharzhofberger Auslese(シャルツホーフべルガー・アウスレーゼ)
濃密な口当たりに、非常に高貴な蜂蜜のような甘み、驚くようなミネラルの風味を感じさせる味わい。フルーツ系のデザートやクリーム系のチーズなどと合わせたいワインです。
■Kiedricher Gräfenberg Riesling Spatlese(キートリッヒァー・グレーフェンベルグ・リースリング・シュペートレーゼ)
モーゼルのリースリングと比べると濃密な口当たりで、リッチな甘さの中にスモーキーさとスパイシーさが感じられるエレガントな味わい。こちらもチーズなどと合わせるのがおすすめです。
■Ahrweiler Rosenthal Spätburgunder GG(アールヴィラー・ローゼンタール・シュペートブルグンダー GG)
シュペートブルグンダーから造られた稀少価値の高い赤ワイン。エレガントで繊細な味わいのため、鴨や赤身の魚のほか、スパイシーなチーズとも好相性。

まとめ

数十年前の日本では、ドイツ産の甘口ワインがよく飲まれた時代がありましたが、現在はドイツワインの人気は高いとは言えないのが実状です。いまだにドイツワインには甘口ワインしか存在しないと思っている方もいると思います。偉大なドイツワインに甘口ワインが多いのも事実ですが、辛口のドイツワインにも素晴らしいワインがあります。
ぶどう本来の味わいが素直に表現されているスタイルがドイツワインの魅力であり、どんな料理の素材にも合わせやすく、心地よくサポートしてくれるようなワインが多く存在します。まだ日本に紹介されていない素晴らしいワインがドイツにはたくさんあります。皆さんも感動するような美味しさのドイツワインを探してみてください。

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